臨床心理士の適正 その3

(4) 距離をもつ

臨床心理士は、クライエントの心に秘めた個人の秘密に関することを
聴く事があります。

そして、そのとき、臨床心理士が、どのような態度で、
クライエントの話を聴くのかということはとても重要なことです。

クライエントの話を聴く時は、
臨床心理士は、その人の心の秘密に触れるのに関わり過ぎないように、
ですが距離を置き過ぎないようにする、
つまり、適切な心の距離間が必要です。

私たちは、他の人の生き方や生活に対して、
多くの興味を持っています。

特に、個人的な秘密を見たり聞いたりしたいという気持ちは、
とても強いものがあり、
他人のプライバシーを興味深く扱う週刊誌やテレビのワイドショーなどは、そのような人の心理をウマく利用しています。

クライエントの心の秘密に対して適度な心の距離を持ち、
聴きすぎないということは簡単なことではありませんが、
その距離を維持できなければ、臨床心理士の仕事は務まりません。

そのために、臨床心理士の教育訓練のなかには、
スーパービジョン(監督教育)という
教育システムが組み込まれています。

これは、臨床心理士が担当した心理相談を、
経験豊かな指導者に逐一正直に報告し、
クライエントの心の秘密に対して適切な対応がなされたかが
検討されると言うものです。

また、臨床心理士が主観的に捕らえたクライエントの問題やかかわりの仕方が、客観的理論に照らして適切であるかどうか、
臨床心理士自身が抱いているコンプレックスについても
十分に吟味を受けます。

このスーパービジョンで、クライエントとの
適切な距離を保つことができる様になるには、
臨床心理士の個人的な課題にもよりますが、
週一回50分、3年から5年以上が必要だといわれています。

さらに、クライエントの心の世界を理解するためには、
臨床心理士自らが心理相談を受けるクライエント体験も必要です。

そして、人格発達論、病態論、治療理論、治療技法論などについても、
丁寧に学習しなければなりません。

臨床心理士は、客観的理論に照らした技能や心構えなどを学び、
厳しい修練や臨床研修を受けています。

それは、臨床心理士自身が、クライエントの心のありようを知るための
大切な道具の一つであり、その質が厳しく問われるからです。

 

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